ポートレイト
アルフォンス・マリア・ヤコブ
髙尾 昌樹
1
1埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科
pp.289-293
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200392
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はじめに
クロイツフェルト・ヤコブ病注という病名を知らない神経内科医,いや医師はいないのではないかと思う。クロイツフェルト・ヤコブ病は,プリオン病として広く理解されている疾患の嚆矢となったものであり,この疾患の研究によって,ガジュセック(Daniel Carleton Gajdusek;1923-2008),プルジナー(Stanley Ben Prusiner;1942-)の2人がノーベル生理学・医学賞を受賞した。最近ではアルツハイマー病やレヴィ小体病,あるいは孤発性のタウオパチーまでもプリオン病と類似の病態をとる疾患であると考えられるようになっている。クロイツフェルト・ヤコブ病は100万人に1人と極めて稀ではあるものの,本疾患を含めたプリオン病を理解することは大変重要なことであると考えている。
今回,本誌ポートレイト欄として,ヤコブ(Alfons Maria Jakob;1884-1931)について書くように依頼をいただいた。私のレベルでは,まだポートレイトを書くほどの経験も知識も不足しているうえに,ヤコブとの直接の面識などは当然のことながらなく,また短命であったこともあってか,資料も少ないように感じる1-4)。ここでは,少ない資料の中に記載されていることをまとめる形で,疾患そのものに関する文献も参考にしながら,ヤコブに関して少しでも紹介できたら幸いである。
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