書評
「標準神経病学 第2版」―水野美邦●監修 栗原照幸,中野今治●編
岩田 誠
1,2
1東京女子医科大学
2メディカルクリニック柿の木坂
pp.152
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101414
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これは,極めて便利な書物である。帯には,学生のための神経内科の教科書,と書いてはあるが,どうして,どうして,この書物に書かれている内容は相当に高度であり,研修医どころか,神経内科の専門医の座右の書としても,十分に活用できる内容である。しかも,高度な内容が実に要領よく,わかりやすく説明されているので,学生が読んだとしても,十分に内容を把握していくことができよう。それにしても,よくまあ,これだけの内容の濃い書物を,五百数十ページにまとめられたものと,感心するのである。
評者が特に感心したのは,この書物の1/5が,筋肉と末梢神経の病気の記述に当てられていることである。神経系の病気を取り扱う科としては,神経内科のほかに,脳神経外科,整形外科,そして精神医学があり,多くの神経系疾患は,これらのうちの複数の科における共通の診療対象である。しかし,筋肉疾患と末梢神経障害とは,それらのほとんどが神経内科の独壇場である。そこに大きく焦点を当てた編集方針は,極めて的を射たものとして,評者の共感を呼ぶ。
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