増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
消化器疾患治療薬
緩下剤
ニフレック(ヘキスト・マリオン・ルセル)
小林 清典
1
1北里大学東病院消化器内科
pp.133-134
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905487
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臨床薬理
●作用機序:本剤は,Davisら1)が考案したマクロゴール4000と各種電解質を含む特殊組成電解質液である.本剤は,経口摂取された後も腸管でほとんど吸収や分泌をうけない.大腸内視鏡検査や大腸手術時の前処置に本剤を用いることで,従来の前処置法と比較して,短時間にかつ確実に腸管内容物を排除することができる.実験動物(ラット,イヌ)を用いた基礎的検討でも,本剤の反復経口投与により水様便を排泄し,腸管内容物が有意に減少,排液も透明になることが観察され,明らかな腸管内洗浄効果が確認されている.
●体内動態と血中濃度モニタリング:本剤をラットに経口投与すると,主成分であるマクロゴール4000の大部分は吸収されず,糞中に排泄される.なお,一部は体内に取り込まれ,分解されず尿中に排泄される.ラットに本剤を経口投与した際のマクロゴール4000の血中濃度は,投与後2時間で最高値を示し,以後速やかに減少し,8時間後には測定限界以下になった.また本剤投与により,血清電解質バランスも大きく崩れなかった.ヒトへの投与においても,血清電解質バランスに大きな変動は認められず,マクロゴール4000の血中濃度も,大多数の症例で測定限界以下であった2).よって,血中濃度をモニタリングする必要性はない.
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