学会印象記
The 8th International Conference on Frontotemporal Dementias (FTD2012)(2012年9月5~7日,マンチェスター)
緑川 晶
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1中央大学文学部心理学共同研究室
pp.1450-1451
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101376
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イギリスのマンチェスターといえば,最近では,サッカー日本代表の香川真司選手が移籍したことで話題となったマンチェスター・ユナイテッドの本拠地として知られ,サッカー好きにとっては堪らない場所のようだが,多くの人にとっては,イギリス産業革命の中心的な都市としてのほうが馴染みがあるかもしれない。いまとなっては,当時の面影は煉瓦造りの建物(写真1)や博物館に展示された蒸気機関などから想像するしかなく,工業都市というよりは,学園都市の風情である。マンチェスター大学は中心市街地にほど近い位置にあり,前頭側頭葉変性症(FTLD)の臨床診断基準を提唱したメンバーの1人であるDavid Neary教授やJulie Snowden教授,また神経病理学者であるDavid Mann教授らが所属する大学として知られ,前頭側頭型認知症(FTD)研究のメッカの1つであり,今回の会議のホストを務めている。
会議が開催された場所は,マンチェスター・セントラルという国際会議場の一角で,口頭発表はすべて同一の小ホールで行われ,ポスター発表も3日間を通じて貼り出され(写真2),それぞれの時間が重なることもなく,落ち着いて参加することができた。会議のプログラムは“Building Bridges Between Research, Treatment and Care”と題されたことからもわかるように,FTDに関して,診断から治療,マネージメントまで多岐にわたるものであったが,実質的には遺伝子研究が中心的なトピックであった。
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