学会印象記
16th International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disorders(2012年6月17~21日,ダブリン)
宇川 義一
1
1福島県立医科大学神経内科学
pp.1080-1081
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101300
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MDS(The Movement Disorder Society)の学会に出席していつもまず感じるのは,時間の経過である。この学会の前身となるヨーロッパでの学会の第1回大会は,ローザンヌで開催された。今は亡き故マースデン教授が音頭をとって始まった。そのとき,私はロンドンへの留学の交渉でマースデン教授と話をすることになっていた。学会の重鎮である教授と話す機会を持つことが難しかった記憶がある。25年以上前のことである。この間の運動異常に関する研究の進歩はめざましいもので,本学会でも疾患の病態,分子生物学に基づく機序や新しい治療に関する講演が数多く見かけられる。これに対して,生理学に関する講演がめっきり減った感じがあり,生理を専門にする筆者にとっては複雑な心境であるとともに,気が引き締まる思いである。ローザンヌの大会ではジーパン姿で,振戦の生理の話をしていたロスウェル教授が学会の執行部になり,日本の梶(龍兒)先生と一緒に運動障害への感覚系の関与という生理に関する講演をしていた。
今回の学会はダブリンで開催された。ダブリンには一度他の学会で訪れたことがあり,特に準備もなく,ホテルの位置・学会場の位置など確認せずに訪問したが,行きの飛行機の中で場所を確かめて,愕然とした。学会場は市の中心部から少し離れたところであり,『地球の歩き方』の地図には記載されていなかった。また,予約したホテルも学会場のそばであるが,案の定地図に出ていなかった。方向感覚のなさに自信のある私は一人旅であり一気に不安になった。結局,同じ飛行機に横地先生ご夫妻がおられ,頼れる相手を見つけて安心した次第である。
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