学会印象記
第2回International Congress of Movement Disorders(ISMD)
水野 美邦
1
1順天堂大学医学部脳神経内科
pp.1016
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900406
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第2回ISMDの総会が,1992年6月24日から26日まで3日間,MUnchenで開かれた。第1回は2年前Washingtonで開かれた。本会議は3日間であるが,前後にsatellite symposiumがあり,5日間の会議であった。7時30分からEarly morning semi—nar,9時から11時までplenary lectures,11時30分から13時までposter discussion,14時から16時までplenary session,16時30分から18時30分までposter discussionと,parallel sessionのないところが本学会の良いところで,plenaryもポスターも一同に会して熱心な討論が行われた。
国際学会で痛感することは,基礎医学での新しい知見,概念がすぐ臨床の問題に取り入れられ,病的現象の理解,研究,治療の開発に応用されることである。もちろん後で間違ったと思うこともあるが,新しいことはすぐ取り入れ試行錯誤でも,未知の分野を開こうとする態度は見習うべきものがある。我々は走る前に考えすぎる傾向があるが,連中は走りながら考えているようである。例えば大脳基底核の運動生理の分野でも,Alexander,Crutcherのdirect,indirect path—wayの概念がジスキネジア,アキネジアの理解に取り入れられ,更にアキネジアの改善にNMDARのantagonistsの試みや,更にはstereotaxic subtha—1amotomyまで実験的に行われ,評価はこれからであるが,進歩の速いのに驚かされた。
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