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あとがき
中込 忠好
pp.94
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100833
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高校生あたりまではいつも手元に世界地図がありよく見ていたが,最近は外国への旅行中に機内で表示されるルートマップ以外めったに世界地図を見ることはなくなった。いまさら言うことでもないが,世界地図の中では日本はあまりにも小さい。国土がせまく資源のない国に住むわれわれはこれからどのように生きていくべきなのであろうか。
最近気になっていることの1つが日本の科学技術の停滞である。例えば,日本人を筆頭著者とする世界の主要学術誌への投稿論文数は近年頭打ちになり,かつて米国に次ぎ第2位だったのに現在は第5位である。アジアから米国に留学している科学者のうち日本人の数は減少し,現在1位が中国,2位は韓国で日本は3位である。この傾向は医学分野でもまったく同じである。日本の医師が研究をしなくなった,あるいはその余裕がなくなったことが大きな理由ではないかと思っている。その原因は,新臨床研修制度や改変が進行中の専門医制度などにあるのかもしれない。また,日本人は外国語,特に英語で論文を発表することが苦手であることもその理由の1つであろう。
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