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昨年十月,中国でくも膜下出血後の脳血管攣縮に関する国際学会があり,重慶,武漢といった地方都市を訪れる機会があった。学会の主催は第三軍医大学西南医院という軍直轄の大学病院であった。北京経由重慶までの往路は順調であったが,学会場に着き登録の有無を確認すると定かではないという。だいぶ時間がかかった後,登録料が払ってあることが確認され,登録が完了しホテルの部屋に入ることができた。翌日から演題発表が行われたが,その手順も慣れていないせいか遅れ気味であったが,約40%の演題のキャンセルがあったためか,論議を十分に行うことができた。歓迎パーティーの食事は日本人の口には必ずしも合うものではなかったが,舞踊,曲芸,伝統芸能(瞬時に顔に付けているお面を交換する早業)などの余興はすばらしく,ここでは主催者の意気込みが感じられた。学会2日目からは揚子江を下りながら船上で演題発表が行われた。学会終了後は,バスで武漢に行き,そこで1泊した後,空港向かった。チェックインを済ませ待機していたところ,出発1時間前になり,北京行きの飛行機が出ないという。乗り継ぎ便に間に合う他社の便を都合してくれと交渉したが埒があかなかった。結局3時間遅れの次の便で北京に到着し,自分で航空会社のマネージャーと交渉し,なんとかその日に日本に帰る便を都合してもらった。学会期間中天気が悪かったこと,重慶や武漢のスモッグがすごかったこと,さらには,個人的なトラブルがあったことなどにより,初めての中国旅行は苦いものであった。
さて,今月号の特集は「神経救急」である。最初に救急医学の専門家である有賀 徹教授と本誌編集委員の内山真一郎教授が「日本における神経救急の現状と今後の展望について」というテーマで対談されているが,これを読んでいただければ,神経救急の重要性がよく理解されるのではないかと思われる。現在大きな社会問題となっている小児救急に関しては,長村敏生先生に「小児神経救急の現状」というテーマでその問題点を含め解説していただいている。また,神経救急の治療は通常それ単独で完結することは稀であることから,治療が終了した後の問題点やリハビリテーションに関して,栗原正紀先生および富田博樹先生に解説していただいた。ぜひ「神経救急」の特集をお読みいただき,その重要性や問題点などを理解していただきたい。
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