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司会(脳神経内科 清水) 本日は,Parkinson病の経過中に認知症が合併しましたが,病理学的にはParkinson病ではなかった症例についての検討を行います。主治医の鏡原先生お願いします。
症例呈示
主治医(脳神経内科 鏡原) 当初はParkinson病の臨床診断で経過をみていましたが,亡くなる2年前から認知症が出現,進行し,認知症を伴うParkinson病か,Lewy小体型痴呆(dementia with Lewy boclies:DLB)を疑った症例です。30歳時にMeniere病の既往がありますが,詳細は不明です。既往歴として高血圧があり,2000年からnilvadipineを服用していました。現病歴ですが,2000年秋,71歳頃から,上半身が座位でも立位でも右に傾くようになりました。徐々にその程度が強くなり,同年12月に府中病院神経内科を初診。この時には上記の姿勢異常はありましたが,筋緊張は正常でした。翌年に入り,スムーズな歩行ができなくなり,2月に転倒。この時の歩行障害は歩いているうちに徐々に前のめりになってしまう,加速現象でした。これをきっかけにL-dopa+carbidopaを開始。抗Parkinson病剤(抗パ剤)の内服により上半身の傾きや歩行障害は改善しました。しかし,10月頃から再び上記の姿勢異常と歩行障害が出現したために,翌年11月末日に都立神経病院に第1回目の入院となりました。
神経学的所見では,診察時の会話などから精神症状や知的障害はないと考えられました。上方注視制限が軽度あり,軽度の仮面様顔貌で,やや単調な話し方でした。座位,立位において上半身は右に傾斜しますが,顔面の回旋はありません。右肩が左に比べて軽度挙上していましたが,自己矯正は可能でした。筋固縮は上下肢の近位部ではやや左に強い傾向はありましたが,その程度は軽度でした。腱反射は左右差なく,正常域で病的反射はありません。動作緩慢はありましたが,協調運動障害はなく,振戦はありません。起立可能で,歩行時には上半身は右に傾斜した状態で軽度の前屈が加わり,小股歩行となりました。腕ふりも両側とも乏しい傾向でした。Retropulsionは存在。MIBG心筋シンチグラフィーの心・縦隔(H/M)比は15分1.78,3時間1.66とParkinson病のパターンでした。リハビリテーションとpergolideの追加により,姿勢異常と歩行障害は改善しました(退院時,L-dopa+carbidopa 300 mg,pergolide 750μg)。
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