Perspective◆展望
現場で役立つ食事療法を求めて
赤井 裕輝
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1東北医科薬科大学医学部 内科学第二(糖尿病代謝内科学)教室
pp.189-190
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200623
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全国の多くの病院の糖尿病教育入院では,現在も食品交換表の写真にみられるような糖尿病食が,管理栄養士の献立で提供されていると思われる.在院日数の短縮化が求められる昨今は,入院早々から食事療法に加えて,運動療法や強化インスリン療法が導入される慌ただしい日程も珍しくないが,入院後に食事療法の効果をみることが許される場合,多くの患者で入院前の薬の投与を何ら変更しなくても改善がみられる.入院すれば従来からの食事療法で改善することに,入院診療を多数経験している先生方の間で異論はないと思う.しかし外来では,いくら医師が助言し管理栄養士が繰り返し指導しても,改善例は少ない.この入院と外来の結果の違いが何によるものかが分析され,その解釈の違いが食品交換表に基づく伝統的指導から,糖質制限食,野菜先食べダイエットという具合に,いろいろな観点からの指導法の開発につながっていると考えられる.繰り返しになるが,入院するだけでかなりの人がよくなる.入院中は病院食以外に選択の余地のないのが患者であるが,在宅ではそれぞれの判断で,飲み物や間食が自由に選択できるので,仮に病院食を宅配で送っても入院中のような効果は期待できない.
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