Japanese
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Perspective●展望
求められる食事療法のニッポンエビデンス
Evidence of the effect of diet in Japanese type 2 diabetics is required
赤井 裕輝
1
1東北労災病院糖尿病代謝内科
pp.332-333
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100853
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糖尿病の治療の基本は食事療法にあることは言うまでもない.メタボリックシンドローム的な内臓脂肪型肥満の体型の人に食事の仕方を聞くと,多くの人が晩酌しながらいろいろなおかずを食べ,あらかたお腹が満ちてきたところでご飯と漬け物,お茶漬けなどでお腹を満たし,そして「ごちそう様」にしていることがわかる.料亭の食事パターンを家庭に持ち込んだもののようだ.「いただきます」からご飯とおかずをバランスよく食べることを勧めても,料亭型のコースは日本食の伝統に基づくものだと思うという患者さんの反論が返ってきて答えに窮していた.高級料亭に対するあこがれと自分の欲求が一致しているので,患者さんは強気である.しかし日本食の伝統は本来一汁三菜で,お膳にはおかずとご飯と汁椀が一緒に載っていたことも事実であるはずなので,なんとか確認したいと思っていたところ熊倉先生の研究を知り,今回のインタビューになった.一汁三菜のパターンはなんと平安時代,それも京の庶民の食事にまでさかのぼれるのであり,長年の伝統的な食のパターンが崩れることと糖尿病の増加とが重なってきているように思われる.糖尿病食は由緒正しい日本食の伝統に近い食事であることを一言付け加えると患者さんのわだかまりも解消するのではないだろうか.
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