Japanese
English
特集 糖尿病診療のための実践的運動療法
Ⅳ運動療法の注意点
有酸素運動でなければいけないのか?
Should it be aerobic exercise?
片岡 弘明
1
1KKR高松病院 リハビリテーションセンター
キーワード:
①有酸素運動
,
②レジスタンス運動
,
③ストレッチ
Keyword:
①有酸素運動
,
②レジスタンス運動
,
③ストレッチ
pp.607-610
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101418
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
糖尿病治療としての運動は,代謝の安定と合併症の発症・進展予防および健康維持を目的として行われるが,その代表は有酸素運動である.有酸素運動の効果には,筋収縮の刺激により血液中のブドウ糖が骨格筋に取り込まれることで血糖値が低下する「急性効果」と,運動を継続することでインスリン抵抗性を改善させる「慢性効果」がある.そのため,運動処方時には有酸素運動が選択されやすい傾向にあるが,実際の臨床ではすべての患者に対して有酸素運動を処方することが必ずしも適しているわけではない.なぜなら,患者によって背景因子(病態,生活環境,生活習慣,運動習慣,既往歴,合併症など)が異なるため,有酸素運動だけでは十分な効果を得ることは難しいからである.したがって,これらを把握したうえで適切な運動を処方しなければ,治療を目的とする運動が逆に病態を悪化させたり,運動意欲を低下させる可能性がある.さらに運動療法の実行度は,食事療法や薬物療法に比べて低いことから,これを改善させるためにも患者一人ひとりに適した運動処方の立案が望まれる.
糖尿病治療に用いられる運動には,有酸素運動の他にレジスタンス運動とストレッチがあるが,処方時には有酸素運動のみではなく,3種類の運動を臨機応変に組み合わせることが有効である.本稿では,これらの運動をどのように選択し処方に結びつけていけばいいのかについて解説する.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.