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特集 糖尿病診療のための実践的運動療法
Ⅲ運動療法の基本
運動はなぜ続けにくいのか
Why don't they keep on being physically active?
辻井 悟
1
1天理よろづ相談所病院 内分泌内科・糖尿病センター
キーワード:
①有酸素運動
,
②抵抗性運動
,
③社会認知理論
,
④自己効力感
,
⑤環境要因
Keyword:
①有酸素運動
,
②抵抗性運動
,
③社会認知理論
,
④自己効力感
,
⑤環境要因
pp.590-594
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101415
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運動療法の現実
身体活動の低下と種々の疾患の関連性が指摘されており,身体活動を増加させることが健康づくりのための重要な課題となっている1, 2).2型糖尿病の予防と治療管理のためにも身体活動は重要な柱である.インスリン感受性の増強や体組成の変化に貢献する有酸素運動,さらに筋肉量の増大や安静時エネルギー消費量の増加をもたらす抵抗性運動(筋肉トレーニング)は,いずれも糖代謝の改善に寄与する有効な身体活動である.しかし,有酸素運動の効用や方法について広く宣伝活動が行われていたり,保険者や健康管理の医療従事者より熱心に勧められたりしているにもかかわらず,一般の人や2型糖尿病患者の運動実行度は30%程度にしか過ぎない(Box 1)3).国民健康・栄養調査によれば,ここ数年運動習慣のある者の割合は横ばいであり,歩数の平均値の年次推移としては減少傾向にみえる.われわれの施設においても,糖尿病教育後の自己評価では目標の運動療法の50%にとどまっているのが現状である(Box 2).まして,大半の人が有酸素運動に加えて抵抗性運動(筋トレ)を実施することはなかろう.2型糖尿病の予防や治療に対する効果的な対策を考えるうえでも,運動という行動に関係する要因について明らかにする必要がある.
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