入門講座 運動療法の基本中の基本・6
有酸素運動の基本
田畑 稔
1
Tabata Minoru
1
1豊橋創造大学リハビリテーション学部理学療法学科
pp.515-526
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101200
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有酸素運動って何ですか?有酸素運動以外には何があるのですか?
骨格筋の収縮に用いられるエネルギー源はアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate;以下,ATP)である.ところが,骨格筋に含有されているATPは5μmol/g1)程度の量であり,運動を開始するとすぐに枯渇してしまう.そこで,酸素運搬系を利用して血液中の糖質や脂質を酸化しながら,骨格筋へ大量のATPを持続的に供給し運動することを有酸素運動と呼ぶ.
ATPはミトコンドリア内で合成され,ピルビン酸(Pi)あるいは遊離脂肪酸から生成されたアセチルコリン補酵素は,トリカルボン酸回路(クエン酸回路やクレブス回路とも呼ばれている)により,ATPと二酸化炭素と水を生成する(図1a).この機構によるエネルギー供給のスピードは比較的ゆっくりではあるが,血中の糖質と脂質,肺から酸素の供給がある限りほぼ無期限のエネルギー供給が可能なため,開始から3分以上継続する運動の場合は,長時間の実施が可能である.
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