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ライフステージにおける青壮年期とは
青壮年期(30~50歳)は,一生を通じ身体的に安定した時期で,成熟した生理機能を保持するとともに精神的活動の充実する時期である.身体の成長と発達は完了して身体的機能がピークに達した後,細胞レベルでは潜在的老化の時期を迎える.円滑な家庭生活の維持や職業人としての役割を遂行したり,経済的基盤を確保して,地域社会との交流を深めたり,また,年老いた両親の介助を含め,家族を支えるなど自己実現に向けた立ち位置を選択し,種々の周囲環境のなかで主体的・合目的な活動を行う.職場での中核的存在や家族の柱,責任ある立場,働き盛りの夫婦や親の役割を担いながら家庭を築く.職業的役割が拡大して責任が増す一方,地域社会の一員としての貢献が期待される.
この時期に肉体的病気は一般的に少なく,活動は旺盛で,かなり無理をしても,短時間の休憩で疲労は回復する.肉体的には充実していても,社会ではなお下積みであったり,上司や後輩の間に入るサンドイッチ状態であったりして,その欲求不満,不安あるいは職業的な無理などが,心身両面に影響を与える.精神的にはなお未熟な点もあり,功名心にはやる傾向にある.その結果,青壮年期はストレスを受けやすい時期である.青壮年期は,将来への準備を整えようとする活動のなかに,その生き甲斐を見出していこうとする世代である.このような働く世代の青壮年の共通した願いは,常に心身ともに健康な状態のもとでその能力を最大限に発揮できることである.その健康が失われた場合,それは直ちに,一員として参加している社会生活や家庭生活の諸活動に対して大きな影響を及ぼす.そして何よりも,青壮年が社会参加を通じて得る幸福感,満足感に陰りが生じる.
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