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特集 糖尿病―心理と行動のサイエンス
その他の心理療―ブリーフやナラティブは難しい
Other psychotherapy
松井 麗樹
1
1北里大学医学部精神科学
キーワード:
life style
,
心理療法
Keyword:
life style
,
心理療法
pp.57-60
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100626
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Case 病棟主治医とラポールが形成されて改善した症例
患者:60歳男性.糖尿病歴15年で心筋梗塞,閉塞性動脈硬化症の既往もあるが,「自分が糖尿病であることを受け入れられず」食事療法は守れず,運動はせず,タバコも吸い,酒も飲み続けていた.また退職後はほとんど家から出ない生活であった.入院時「目が見えなくなったら,自殺するからいい.」などと言うため,担当医は「家族に対してそれでは無責任だ.」「糖尿病を否認しても治らないし,医者はあなたの身体の責任をとれない.自分でケアしてもらうしかない.」と少し突き放した話をした.
翌朝の採血結果を「外来ではFBS(空腹時血糖)207mg/dLだったのが190mg/dLに下がりました.がんばっているのですね.」と伝えた.FBS 190mg/dLをほめられたことは,患者にとって意外だったようで,これを機に本音の話をしてくれるようになった.闘病にまつわる感情や考え方を聞き,具体的に取り組めそうな課題を取り上げていった.その後は,前向きな姿勢が行動へつながり,できたことは小さなこともほめちぎった.タバコは40本が10本に減り,病棟を2~3周歩くようになった.薬は変更せず,3週間の入院でFBS 132mg/dLまで改善した.退院後も前向きの姿勢は続いている.
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