Japanese
English
Perspective●展望
感染症と人間と社会
Infectious disease, human and society
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.334-336
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100607
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筆者が小学生のころ,図書館の偉人伝には必ず北里柴三郎と野口英世があった.北里柴三郎は嘉永5年(1852年)熊本に生まれた.熊本医学所でオランダ人医師に学んだ後,東京大学医学部に進学している.故郷の同輩緒方正規が先に学んでおり,後に東京大学医学部衛生学の教授になっている.卒業後,内務省衛生局局員の職位からドイツ留学を許され,当時世界的に最も有名であったベルリン大学コッホ研究室へと出向している.1886年のことである.
早速,コレラ菌の性質の解明を進め実力を評価される.その年,二人の研究者から脚気菌を同定したという報告がなされる.その一人は緒方正規であった.北里はそれらの研究の不備を指摘し,誤謬を明らかにする.原因のわからない病気に対して病原微生物説が登場し,学問的論争になることがこのときも経験されている.
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