研究報告
社会医学的に觀た人間の壽命
大山 保
1
1名古屋市立大学公衆衞生学教室
pp.82-84
発行日 1953年12月15日
Published Date 1953/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201305
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近時社会医学Social Medicineは医学上の問題としてのみなく国際的見地からも重視されるようになつた。社会医学乃至社会衞生学と云うことばは前世紀の中頃から用いられて来たのであるが其定義乃至意義の解釈はいまだ確然と一定したものであるとは云えない。然し今日で云う社会医学はCrew(1)が指摘しているようにhuman ecologyに関する学とも云える,そして其目的は「遺伝と環境」の人間集団に及ぼす影響を究明し,人間の福祉を社会的手段により積極的に増進せんとするものである。言いかえれば社会医学の目的は近代定義に適つた肉体的精神的及び社会的健康の実現にあると云える。従つて之は公衆衞生の進路を示すものである。ここでは社会医学と公衆衞生学との異同に就いて論ずる事を避け社会医学的に観た人間の寿命に就き述べ,社会医学の有する意義の一端を明かにしたい。
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