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Case セルフケアが続けられず悪化を繰り返している55歳男性
患者:A氏,55歳の男性公務員.
8年前に糖尿病を指摘されて入院となりインスリン治療で血糖値は著明に改善し,インスリンを中止して退院となる.退院後は食事や運動療法などのセルフケアが続けられずに数カ月で悪化する.このような状態を5回繰り返していた.
今回は,勤務が三交替制となり,今までなかった夜勤が加わったことで運動療法の維持が困難になりHbA1C9.5%とコントロールが乱れて入院となった.
自覚症状:口渇,全身倦怠感,足のしびれ,足のつりが時々みられた.
身体所見:身長160cm,体重73kg,血圧120/80mmHg(降圧薬内服中),アキレス腱反射あり,振動覚に異常を認めず.
合併症:網膜症認めず,腎症は微量アルブミン期.
入院直前のセルフケア状態:
食事療法(熟考期);一人暮らしのため副菜が少なく,特定の健康食品を用いた食事に偏りがちであった.赴任地の地元ビールの美味しさを実感し,飲酒機会は増えていた.高血圧があるにもかかわらず,知人より紹介された特殊な塩が体に良いと多く摂取していた.
運動療法(準備期);運動に関してはかなり意欲的であった.しかし,運動を実施する時は2時間以上も続けることがあり,かえって血糖を上げると説明しても聞き入れなかった.
入院中の経過:入院後インスリンを導入し,1,600kcal,7g減塩食として徐々に血糖は降下し,14日でインスリンは中止することができた.入院18日目から教育コースに参加することになる.治療方針としては運動できないときにインスリンを打つことが主治医と取り決めされて退院となった(Box 1).
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