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Case
外来でインスリン療法を導入して経口薬に切り替えられた症例
症例は,46歳男性,会社員.身長164 cm,体重80 kg,BMI 29.7 kg/m2.2001年春の健診で初めて糖尿病と診断され,以後自己流の食事療法を行っていた.2002年春の健診では,空腹時血糖値126 mg/dL,HbA1C 6.3%で,医療機関を受診するように指導されたが放置していた.同年夏頃より口渇,多尿,全身倦怠感を自覚するようになり,3カ月間で体重が12 kg減少したため,2002年11月5日に当院を受診した.初診時,空腹時血糖値325 mg/dL,HbA1C 14.0%,血中ケトン体244 mg/dL,尿検査では尿糖(+++),尿蛋白(+),尿ケトン体(-),尿中微量アルブミン定性(++),血圧108/84 mmHgであった.身体所見では有意な異常を認めなかった.家族歴では父親が糖尿病,高血圧,高脂血症,狭心症であった.仕事の都合で入院できないとのことなので,外来でインスリン療法を導入することとした.超速効型インスリンによる強化療法を選択し,毎食直前にノボラピッドインスリンの各6単位皮下注より開始した.その後,血糖値の推移をみながらインスリン注射量を漸増していったところ,治療開始後18日目の11月22日に,朝40単位,昼20単位,夕30単位,合計90単位/日となりインスリン注射量はピークに達した.この注射量で食後2時間血糖値は156 mg/dLまで低下し,夕食前には軽い低血糖症状を自覚するようになったため,この後は血糖値の推移をみながらインスリン注射量を漸減していった.12月24日には毎食直前各2単位まで減量できたため,インスリン療法から経口血糖降下薬治療に切り替えることとした.ベイスン0.9 mg/日の処方で,その後の血糖コントロールは極めて安定しており,平成15年2月5日のHbA1Cは5.4%となった.
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