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Case
1型糖尿病に対する超速効型インスリンの使い方に関する2症例
超速効型インスリン(インスリン・リスプロ)が日本で市販されて1年半が経過した.食直前の注射も有効であり,夜間の重症低血糖の頻度を少なくすることで,インスリン治療患者のQOLを高める点が評価されてきた.しかしながら1型糖尿病では,それまで使用していた速効型インスリンを単純に超速効型に切り替えると,基礎インスリンの分泌を欠くため,食前血糖が著明に上昇し,HbA1Cから見た血糖コントロールが逆に悪化する例もある.
今回はこの超速効型インスリンの特徴を生かし,その欠点を補う方法を2症例を挙げて解説する.1)食事と次の食事または就眠前にNPHインスリンを打つ時間が3時間以内の場合は,超速効型インスリンを単独使用する.2)この時間が3~5時間の場合は,基本に速効型インスリンを使用し,これに食後2時間の血糖が下がる量の超速効型を追加する.3)この時間が5時間程度の場合は基本にNPHを使用し,食後2時間の血糖が十分下がる量の超速効型を同時注射する.
Caseの教訓(同時注射法による超即効型インスリンの使用法について):文献上ではヒューマログの食後高血糖の抑制効果や重症低血糖の発症頻度が少なくなることが強調されていて,注射後3~4時間でその効果がほとんど消失する点が十分指摘されていない1,2).今回のCase 1のように,インスリン分泌能が著しく低下している1型糖尿病では,ヒューマログは3時間程度しか持続しない特徴が顕著にみられた.1型糖尿病に各種のインスリンを使用し,インスリンの作用時間を観察した結果,その作用を模式化したのがBox 1である.縦軸の有効性はインスリンの血中濃度ではなく,概念的にインスリン活性を示したものである.
このような方法に従えば,食前・食後のいずれの血糖をも十分に下げることが可能となる.
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