Japanese
English
Case Record
コントロール悪化に伴い一過性に痴呆症状を呈した緩徐進行型1型糖尿病の1例―糖尿病と一過性痴呆
A case of slow progressive type 1 diabetes mellitus associated with transient dementia following to poor control
川本 龍一
1
,
徳永 人夫
1
,
岡 祐一郎
1
,
高木 弥栄美
1
1町立野村病院内科
キーワード:
糖尿病
,
コントロール不良
,
痴呆症状
,
高齢者
Keyword:
糖尿病
,
コントロール不良
,
痴呆症状
,
高齢者
pp.75-78
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100352
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Case
痴呆症状を呈した糖尿病
57歳より糖尿病にて近医に通院,70歳からペンフィルNの朝1回打ちにて治療されていた.2001年9月頃より血糖がコントロール不良となり11月7日近医に入院となる.入院後,食事療法(詳細不明),ペンフィルNによるインスリン治療を続けるも血糖の上下がひどくコントロールは安定しなかった.その間,次第に場所や時間の認知障害,失認,失行などの症状がみられるようになり.12月7日同院内での転倒を機会に他院の脳神経外科に紹介されアルツハイマー型痴呆と診断された.当院へは血糖のコントロールを目的に12月11日家族に連れられ受診し入院となる.強化インスリン療法の導入により血糖は徐々に改善し,それに伴い痴呆症状もみられなくなり,自分で血糖を計り,インスリン注射もできるようになった.最終的にはペンフィルR朝12単位/昼8単位/夕6単位,ペンフィルN眠前8単位を行った.今回の状態は,代謝障害による一時的なせん妄状態とも考えられるが,高齢に伴う脳の機能低下があり,さらに血糖変動による脳への影響で出現したものと判断された.痴呆との鑑別に注意が必要であった症例である.
Caseの教訓:高齢者では糖尿病のコントロール悪化により痴呆症状を呈することがある.
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