特集 糖尿病診療のエビデンス&プラクティス―欧米のエビデンスを日本でどこまで活かせるか
Master Lecture
EBMの有用性と限界―EBMが自分の限界を明らかにする
名郷 直樹
1
1社団法人 地域医療振興協会 地域医療研修センター
pp.682-683
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100294
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はじめに一言
EBMの限界を問題にする必要があるというのなら,医療の限界も同様に問題にすべきではないか.医療には有用性もあるが,限界もある.それと今回のEBMの話とどう違いがあるのか.違いがないとすれば,ただそれだけのことだ.EBMも医療の一部分である以上,その有用性には限界がある.腹部超音波の有用性と限界,CTの有用性と限界,MRIの有用性と限界,そういう問題と,EBMの有用性と限界ということは,同じであると.EBMも,超音波検査と同様,単なる道具に過ぎないのだから.
自分自身の限界(Box 1~3)
どうしても酒がやめられない糖尿病の患者さん.薬をちゃんと飲まない血糖コントロール不良な患者さん.そんな患者さんたちに,EBM以前はどんなふうに対応していただろうか.明確なエビデンスなんて知らないくせに,お酒をやめない限り治療に責任は持てませんとか,薬を飲まずに合併症が起きても知りませんよとか.全くひどいものだ.
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