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アニマルモデル研究からヒト1型糖尿病発症予防への臨床応用は
1型糖尿病は,β細胞の破壊がclinical onsetの数年から数十年前よりすでに始まっており,natural historyのステージに応じて,1次予防(糖尿病発症前予防),2次予防(発症後のβ細胞障害進展抑制)の治療法が検討されてきた.これまでにNODマウスを用いた基礎研究の結果をもとに,ヒト1型糖尿病患者の発症予防を目的とした大規模臨床治験が行われた.しかし,そのほとんどの治療は効果なしと結論された(Box 1).その原因として,ほとんどのNODマウスでの治療効果は,1)投与用量,2)投与週齢に強く依存しており,ヒトへの臨床応用に則していない可能性がある.例えば,インスリンによる発症予防にみられるように,1)ヒトとNODマウス間で,投与量に明らかな相違があり,2)NODでの効果的な若年週齢(1a期)投与は,ヒトの現実的な治療のターゲット時期(1c期,2次予防)とは,明らかに異なっている1)(Box 2).
1型糖尿病の1次予防の大規模臨床治験の現状は
1次予防の大規模臨床治験では,ICA陽性の第一度近親者を対象とした,ニコチナマイド投与による二重盲検臨床治験(ENDIT)および,インスリンの静脈内投与/皮下投与,経口投与による大規模臨床治験(DPT-1)が行われたが,残念なことに,いずれの治療においても糖尿病発症遅延効果は認められなかった2,3)(Box 3).特に,DPT-1では,第一度近親者のICA陽性者はわずか4%であり,10万名以上ものスクリーニングにて,339名の治療対象者を確保可能となった.DPT-1の中の経口インスリン治療のサブ解析では,インスリン自己抗体高値を示す近親者に限ると,発症遅延の可能性が示唆され4)現在,インスリンの経鼻投与,インスリンペプチドアナログを用いた治験が進行中である(Box 4).
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