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特集 糖尿病患者の虚血性心疾患にどのようにアプローチするか―虚血性心疾患Update
虚血性心疾患の外科治療―バイパスから心不全の対応まで
Surgical treatment for ischemic heart disease in diabetic patients
小林 順二郎
1
1国立循環器病センター心臓血管外科
キーワード:
①冠動脈バイパス術
,
②人工心肺
,
③低侵襲手術
,
④虚血性心筋症
,
⑤左室縮小手術
Keyword:
①冠動脈バイパス術
,
②人工心肺
,
③低侵襲手術
,
④虚血性心筋症
,
⑤左室縮小手術
pp.161-167
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100278
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糖尿病患者では,冠動脈バイパス術(CABG)の危険性は高いが,その効果は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)より大きい.
糖尿病患者では虚血性心疾患の死亡率が高いのですか?
虚血性心疾患は糖尿病患者の死亡原因の主因であり,非糖尿病患者の約3倍の死亡率である.糖尿病患者の急性心筋梗塞はその発症率だけでなく,死亡率を含めた種々の合併症発生率も高い.糖尿病患者では,急性心筋梗塞後1年間の死亡率も,梗塞前の糖尿病の治療の良好さに関わらず25%とする報告すらある.遠隔死亡が高い原因として,糖尿病患者では,梗塞領域が大きく,心不全・ショック・不整脈・心筋梗塞再発の頻度が高いことによるとされている.不安定狭心症となった糖尿病患者の死亡率は3カ月で8.6%,1年で16.7%と非糖尿病患者の3カ月2.5%,1年8.6%と比べて高い1).Coronary Artery Surgery Study(CASS)2)でも,65歳以上の糖尿病患者でCABGにより44%死亡率を減少させることができたと報告しており,内科治療と比較しての効果は非糖尿病患者と同等であった.スウェーデンからのCABG成績でも3),糖尿病患者の術後30日以内死亡率は6.7%,2年間の死亡率7.8%と,非糖尿病患者の30日以内死亡率3.0%,2年間の死亡率3.6%と2倍以上高い.糖尿病患者では,CABG術後合併症の頻度は高く,インスリン使用は病院死亡と合併症の重要な危険因子の一つである.
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