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特集 糖尿病患者の虚血性心疾患にどのようにアプローチするか―虚血性心疾患Update
虚血性心疾患の内科治療―生活指導からインターベンションまで
Medical treatment for ischemic heart disease in diabetic patients
宮内 克己
1
1順天堂大学 循環器内科
キーワード:
①糖尿病
,
②冠インターベンション(PCI)
,
③バイパス術(CAB)
Keyword:
①糖尿病
,
②冠インターベンション(PCI)
,
③バイパス術(CAB)
pp.153-160
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100277
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冠血行再建術の選択や内科治療のあり方について最近の大規模臨床試験を踏まえて概説する.
糖尿病患者は増加の一途であり,世界で2025年には3億3千5百万人に達するといわれ20年で72%増加することが予想されている.糖尿病の罹患期間が長期になれば動脈硬化は進展し,生命を脅かす合併症を生じることになる.特に心血管疾患の合併症は非糖尿病に比べ2~4倍高いことも明らかになっている.その原因は高血糖と高インスリン血症が炎症を惹起し,内皮機能を障害することにある.また糖尿病患者では他の危険因子,高血圧や高脂血症が高率に合併することも予後を悪化させる一因である.
一方,糖尿病虚血性心疾患の治療戦略は冠硬化や心機能の重症度により薬物治療から冠インターベンション(PCI)治療,バイパス術(CAB)までさまざまであるが,共通している点は近年の再血行再建術の著しい進歩にもかかわらず,糖尿病患者は非糖尿病に比べ予後が悪いことである.課題となるのは予後をいかに改善させるかにある.糖尿病虚血性心疾患患者の治療は多岐にわたるが,あらゆる手段を実践し,積極的に介入すべきである.血糖の厳密な管理はもちろんのこと,合併する高血圧や高脂血症,肥満の一層厳格な管理が要求される.
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