総合外来
高アルカリフォスファターゼ血症の鑑別診断―骨Paget病の1例
矢部 正浩
1
,
豊島 元
2
,
伴 信太郎
3
1日本原病院内科
2福岡逓信病院内科
3名古屋大学医学部附属病院総合診療部
pp.858-861
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903621
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高ALP血症の鑑別診断
高アルカリフォスファターゼ血症(高ALP血症)は外来患者や入院患者でときに認められ,検索が必要となる医学的問題である.ALPアイソザイムには肝型,骨型,胎盤型,小腸型があるが,通常の診療では肝型と骨型のいずれかの上昇が問題となることが多い.
肝型が上昇し,さらに他の肝胆道系酵素が上昇していれば,肝胆膵疾患を中心に検索することになる.この場合はγ―GTPやトランスアミナーゼも上昇していることが多い.ALPが2倍程度上昇している場合は急性肝炎や急性脂肪肝,肝硬変を,5倍程度の上昇では伝染性単核球症に伴う肝機能障害を,10倍程度の上昇では膵頭部癌や総胆管結石症,薬剤性の胆汁うつ滞性肝炎を,15~20倍の上昇では原発性胆汁性肝硬変やときに原発性・転移性肝癌などが考えられるが1),いずれの場合も,各疾患に特徴的な病歴・症状や身体所見,その他の検査結果を認めることが多い.肝由来のALP単独高値で症状がない場合には,原発性胆汁性肝硬変の初期(無症候期)も考慮する必要がある.
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