JIM臨床画像コレクション
Emperipolesis
酒見 英太
1
,
谷口 洋貴
1
,
井関 太美
1
1国立京都病院総合内科
pp.372
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903516
- 有料閲覧
- 文献概要
76歳男性のFUOの精査中に採取した骨髄液のスメアで,目立ったため,当初病因と関わりがあるのではないかと,われわれが色めきだった所見である.
Emperipolesisとは,ある細胞が他の細胞の中に一時期留まるか,そこを通過するために細胞質を貫くことで,お互いの細胞膜は電顕下でも正常に保たれており,貪食胞のごとき融合は起こっていない.これは,生体の血球需要の増大に応えて,骨髄内で分化成熟した血球(主に顆粒球)を効率よく循環血流内へ送り込むために,骨髄・血管境である血管洞内皮細胞の近傍に陣取った巨核球を血球が通過していく様と解釈されている.この現象は,本態性血小板血症や真正多血症,反応性血小板増多症,出血後,慢性炎症,G-CSF投与時などに観察されるという.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.