JIM臨床画像コレクション
扁桃周囲蜂窩織炎vs扁桃周囲膿瘍
酒見 英太
1
,
井関 太美
1
1国立京都病院総合内科
pp.988
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903131
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急性扁桃炎は一般外来でよくみられる疾患であるが,時に強い咽頭痛,嚥下困難,流涎,開口障害,構音障害を伴って重症化し,口蓋垂の変位,病側の口蓋舌弓から軟口蓋にかけての発赤および浮腫状腫脹を伴えば,扁桃周囲(蜂窩織)炎あるいは扁桃周囲膿瘍に進展したことが示唆される.この両者の鑑別は視診や触診だけではしばしば困難で,試験穿刺も患者の苦痛が大きい割に,吸引されたものが膿なのか血液なのか判然としないこともあり,また稀ながら頸動脈穿刺などの合併症も起こりうる.前者は抗生物質投与(ステロイドを併用すると症状の早期改善に役立つ),後者は穿刺あるいは切開排膿プラス抗生物質投与と治療法が異なるために,両者の非侵襲的鑑別ができれば好都合であるが,幸いわが国では一般医でも容易に扱える超音波診断装置がここで威力を発揮する.
表紙写真・上は,内科的治療で治癒した左扁桃(向かって右側)の蜂窩織炎であり,表紙写真・下は,切開排膿を要した左扁桃の膿瘍である.プローブは下顎角の下の体表に当てて内方やや後上方に振れば,舌根を目印に簡単に扁桃の同定ができる,文献上も超音波による膿瘍の検出感度は9割ほどで,特異度も高いため,扁桃周囲炎や膿瘍を疑った場合は是非試みられることを推奨したい.
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