JIM臨床画像コレクション
巨細胞性動脈炎と眼球突出
酒見 英太
1
,
谷口 洋貴
1
,
井関 太美
1
,
佐藤 秀人
1
1国立京都病院総合内科
pp.902
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100725
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症例は62歳の男性.2カ月来の頭皮過敏,1カ月来の頭痛に加わった左眼の急激な視力低下で初診し,緊急ステロイド治療を要した巨細胞性動脈炎(GCA)の患者で,後の左浅側頭動脈の生検でも診断は支持された(表紙写真・左).退院後ステロイド漸減中に,頭痛,倦怠,赤沈亢進と中枢性嘔吐,嗄声,左ホルネル徴候を伴う延髄左背側梗塞をきたし再入院するも,ステロイド増量などで軽快.退院後さらに慎重にステロイド漸減していたが,約4カ月後,頭痛,嘔吐,赤沈再上昇とともに,眼瞼浮腫を伴うが瞳孔異常や視力低下は伴わない,左眼球突出および全眼筋麻痺をきたし(表紙写真右上・下),再び入院した.甲状腺機能正常,甲状腺自己抗体なく,眼窩MRIでも眼窩内外のSOLはなく,外眼筋肥厚も認めなかった.
文献上,GCAにおいて数%以下の頻度で眼球運動異常が認められるとある一方,眼球突出は稀で,Medline上では数例報告がある程度である.本症例においても,ステロイド増量にて全身状態と赤沈が改善するのとともに,眼球突出・眼筋麻痺もほぼ完全に改善したことから,これらは,発症メカニズムは不明ながらも,GCAに随伴した症候であったと考えられた.
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