JIM Report
インド西部地震における日本赤十字社のERUを導入した医療救援活動
高岸 壽美
1
1日本赤十字社和歌山医療センター看護部
pp.546-547
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903278
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2001年1月26日午前8時46分,インド西部のグジャラート州をマグニチュード7.9の地震が襲った.死者は約1.9万人,負傷者17万人といわれている.これに対して,日本赤十字社(以下,日赤)は,緊急医療救援チームを派遣することを決定し,同日中に人選および派遣要請,その翌日には本社でミーティングを行った後に,医師,看護婦,連絡調整員各4名の総勢12名の日赤医療救援チームが出発した.このチームの使命は,ERU (緊急対応ユニット)資材を活用して仮設診療所を開設し,診療活動をすることであった.このERU (Emergency Response Unit)は,国際赤十字が大規模災害時により早く,より効果的な救援活動を行うための体制で,各国赤十字社の特色を発揮して救援事業への参画が可能となる.全国に92の病院を持つ日赤は,その人的資源を最大限活用するために医療ERUの導入を検討しており,今回の出動はその取り組みの第一歩となるものであった.
1月28日にインドに到着したチームは,8トンの資材と人員を被災地に運ぶための手段を当局と模索し,1月30日にはインド空軍の飛行機に乗り込み,ERU資材や毛布・水などの救援物資,さらにはフランスの救助犬チームに囲まれながら被災地ブジ市に到着した.夕暮のブジ空港で資材や救援物資をおろしながら,遠くの野で遺体を焼却する炎を目のあたりにし,明日からの活動に身の引き締まる思いがした.
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