特集 今のままで良いか―日常診療でのコミュニケーション技法
私の失敗体験/伝えたいコツ
飯島 克巳
,
佐々木 將人
,
斎藤 清二
,
早川 浩
,
冨田 和巳
,
須貝 佑一
,
宮森 正
,
岡安 大仁
,
松村 真司
pp.250-253
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903208
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未熟さが露呈した,"狼少年"への時間外診療
01:00,当直室の電話が鳴った.肺炎の患者を入院させ,1時間ほど眠りについたばかりだった.「先生,患者さんです.時間外によく来るCさんです」.事務当直のKさんの声だ.(Cさんには参るな!また,カゼでの受診か).急患室に行ってみると,彼がベッドに横になっていた.
「どうしました?」と尋ねた.(ぶっきらぼうで不機嫌そうな声だったと思う).「4~5日前から,胃がむかむかしていたんだけど,今日は背中が痛い」.(どうして,この夜中に受診するんだ.一通り診察して,また明日受診してもらおう.どうせたいしたことはないだろう).「それでは,おなかを診ましょう」と述べて診察した.右季肋部に軽度の圧痛を認めた.心配ないこと,座薬の処方を考えている旨を伝えたところ,「苦しいから」と強く入院を要求し続けた.結局,私が折れて入院となった.背中の痛みは,徐々に強くなった.明け方のレントゲンと超音波の検査で,十二指腸潰瘍の後腹膜への穿孔が強く疑われた.緊急にヘリコプターで大病院へ転送され,その日のうちに手術を受けた.やはり,疑いどおりの診断だった.
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