特集 今のままで良いか―日常診療でのコミュニケーション技法
Editorial・医療の成功と失敗
飯島 克巳
1
1いいじまクリニック・内科・小児科・心療内科
pp.201
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903195
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42歳のパートタイマーの主婦Pさんが,総合病院の内科を初診した.外来は混雑していた.1時間待って,彼女の番になった.数日前から38度台の発熱,のどの痛み,全身のけだるさが続いていた.半年前から排便後に出血を伴うようになっている"痔"についても相談したかった.父が60歳で直腸癌のために亡くなっているからだ.今日も,パートの仕事を休んだ,診察室に呼び入れられた.S先生は,忙しそうに机に向かって何かを書いていた.
「どうなさいました?」と,先生は作業をすすめながら尋ねた.発熱と痛み,けだるさについて述べると,やっとこちらへ向き直り,鼻水,咳,痰について矢継ぎ早に質問した.のどと胸を診察し終わると次のような説明があった.そして診察は終わった.「カゼですね.エンショウをおさめる薬と,熱冷ましをさしあげましょう」「何かあったら,またおいでください」
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