旅行記
香港素描
大藤 敏三
1,2
1日本医科大学
2下谷病院
pp.343-347
発行日 1966年3月20日
Published Date 1966/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203574
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.着陸
近頃香港観光の広告が氾濫しているのが目立つ。わたくしは次男を連れて1965年11月12日から3日間台北で開かれた台湾医学会の招待状を入手したので,講演後は台湾観光をしてそのついでに香港に立ち寄って観光かたがた友人や病院を訪ねてみることにした。
台北から飛行機で一時間香港の上空に達し啓徳飛行場に着陸した。11月20日というのに台湾よりはやや涼しめのしかし9月頃の暑い季節を感じた。もちろん夏服である。Imigration(移民)Custom(税関)も全部,中国人が当つていてすべて英語である。調べられることもなく外に出たので公衆電話で友人を呼び出す。ちようど日曜日なので在宅。タクシーで10分位の九龍の公爵街で直ぐに分るからとのことで九龍の街を疾走した。街の中でとくに住宅街には大きな熱帯性の街路樹が目につく。大きな榕樹の大木がところどころに見受けられ,その他,涼しげに戦ぐ鳳凰の樹,お伽ぎの国を想い出させる印度素馨(そけい)が葉を茂らせて南国の光彩を放つている。わたくしは素馨を好み鳳凰を愛する。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.