Update '98
問われる「かかりつけ医の意見書」の記載レベル
片山 壽
1
1尾道市医師会(高齢者医療福祉)
pp.754
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902545
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わが国始まって以来の,医療福祉の大改革である公的介護保険制度の導入を目前に控えて,介護認定審査会の委員長を経験したので医師の意識改革につき提言したい.特に,かかりつけ医たるプライマリケア医には,その責任感を問われる重大な正念場が迫っている,なぜなら,利用者が介護給付を申請する際,かかりつけ医が記載する「かかりつけ医の意見書」(以下,意見書)は単なる新手の診断書・情報提供書ではなく,病名や重症度,治療内容などよりは,利用者の状態像や残存機能を中心に,介護サービスの必要量(必要度)を決定する医学的背景情報として,利用者の要介護度の決定に大きな影響力を持っからである.
そもそも要介護度の認定作業とは,利用者の保険給付を受ける「権利」を確認するために行われるものであり,基本調査のアセスメントだけでは読み切れない医学的要素と,必要な介護量の関係について,調査員による「特記事項」とともに二次判定を決定するための重要な情報提供が意見書なのである.さらに,判定された要介護度によりサービス給付の金額がランク分けされている点が,利用者の権利と微妙にかかわってくることは容易に推察される.
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