厚生だより
結核対策の拡充強化に関する意見書について
H. T
pp.321
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204271
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去る1月29日,結核予防審議会は「結核対策の拡充強化に関する意見書」を厚生大臣あて提出した.この意見書は,昭和44年5月の審議会において昭和43年結核実態調査の結果が報告されてから,約1年8か月にわたって対策の改善が検討され,今般成案となって提出されたものである.
わが国の結核の現状について概観すると,戦後急速に改善され,さらにひきつづいて明るい方向に向っているのであるが,このような改善にもかかわらず,なお約150万人の結核患者が存在しており,西欧諸国が達成しつつある結核根絶にはなはだ遠い状況にあるといわざるを得ない.しかも,患者数減少の傾向は,最近鈍化してきており,この鈍化傾向は将来強められて,今後長期にわたって多くの患者が残されることが予測されている.また,従来の結核対策の効果は若年層において顕著にあらわれ,特に初感染発病の激減が結核事情好転の主軸となったのであるが,その反面,大都市や高齢者層など従来対策が滲透しにくかった特定の地域や階層に患者が偏在化するなど因難な問題が集約されている.
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