Update '96
脳性麻痺は分娩時の産科医の手落ちにより起こるか?
松原 茂樹
1
1自治医科大学産婦人科
pp.905
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901970
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脳性麻痺(cerebral palsy;CP)の病態は解明されていない.CPの児の両親は,医師や周囲の人から,「分娩時に何か異常はありませんでしたか?」と繰り返し尋ねられ,産科医に対し「分娩に際して何かミスでもあったのでは?」と次第に疑いの目を向けるようになる.CPは分娩時の低酸素状態が主因で,分娩という極めて短時間の間に集中して発生する,と一般人も,また小児科医や産婦人科医すらも考えているふしがある.このことが,CPに関する医事紛争の増大に大いに寄与している.CPの原因は不明ではあるが,近年データが集積されてきた.
1)分娩監視装置は分娩中の胎児低酸素状態を(完全ではないにしても)とらえることが可能である.ところが,この分娩監視装置が先進国で広く普及した後も,CPの発生は1,000分娩に2例前後で,減少していない.この間,周産期死亡は著明に減少している(各国より多数論文あり).
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