特集 症状からつかむ私の治療指針
新生児
分娩麻痺
島田 信宏
1
1北里大学産婦人科
pp.999-1001
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204962
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I.上肢の麻痺
新生児の正常の肢位は,仰臥位にて四肢屈曲位をとり,左右各半身が対称的であり,活発な運動性を有しているのが特徴である。それなのに片側性に上肢といつても,本当は肩関節が主として麻痺している場合がある。図1のように,麻痺した上肢は伸展位をとり,拇指を中ににぎりしめ,手掌を内側から外側へねじつたように前膊を内転している。これが分娩麻痺のなかで最も多い上位型上腕神経叢麻痺,brachial palsy,upper typeであり,俗にErb’s palsyとよばれているものである。
このErb’s palsyの新生児は,肩関節を動かすことができないので,患側はモロー,ペレー各神経反射は欠如する。また,手指は麻痺していないので,手指のにぎる力は十分にあるのも特徴である。
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