Update '96
心房細動における塞栓予防
星野 晴彦
1
1東京都済生会中央病院神経内科
pp.899
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901965
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心房細動の原因としては,以前はリウマチ性が多かったが,現在では,心不全や高血圧に伴うものが多く,加齢とともに増加し,そのmedian ageは75歳と高齢である.心房細動の合併症としての塞栓,特に脳塞栓症の発症は,心房細動がある場合にはない人の約5倍であり,僧帽弁狭窄を伴うと約15倍といわれ,その予防が重要である.これまでの大規模な臨床比較試験で抗凝固療法の有用性が示されている.抗凝固療法を行わない場合の年間のstrokeの発症率は4.5%であり,ワーファリンによる抗凝固療法により1.4%の発症率まで下げることができる.年齢やその他の危険因子の合併の有無によりその適応を考慮し,1995年のACCPからは下表のような治療法が推奨されている.アスピリンの有用性に関しては現在進行中の臨床試験の結果が待たれるところであるが,もし,抗凝固療法ができない場合には,325mgのアスピリンが用いられるべきであろう.抗凝固療法の指標としてはプロトロンビン時間のINRで2.0~3.0が適当と考えられる.この場合に,副作用として最も心配される脳出血の発症は0.3%である.
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