Update '96
NCIP(nonclassifiable interstitial pneumonia)
長井 苑子
1
1京都大学胸部疾患研究所臨床免疫学・呼吸器内科
pp.896
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901963
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呼吸困難を主訴とする疾患である原因不明の間質性肺炎・肺線維症には,急性経過をたどる群と慢性経過をたどる群が存在することは以前より知られていたことである.前者は,いわゆるHamman Rich症候群,あるいは急性間質性肺炎(AIP)と呼ばれるものであり,後者は,わが国の厚生省班では特発性間質性肺炎(IIP),欧米では特発性肺線維症(IPF)と呼ばれているものである.いずれも予後不良の経過をたどる疾患である.
最近10年ばかりの間に,このような疾患に該当すると判断されていながら経過不良とはいえない症例の存在が注目されるようになってきた.そして,まず認識されたのがBOOP (bronchiolitis obliterans organizing pneumonia)と呼ばれる経過良好な一群で,1995年にEpler,Colbyらによって報告された.その後,AIPにみられるDAD (diffuse alveolar damage),BOOP,IPFにみられるUIP (usual interstitial pneumonia),DIP (desquamative IP),あるいはLIP (lymphocytic IP)といった既知のいずれかの病変とも鑑別のできない病変を持つ症例の存在が注目されるようになり,NCIPあるいはunclassified IPと呼ばれている.
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