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特集 コミュニケーション上手な医師になる
コミュニケーション・スキル
アルコール依存症者とのコミュニケーションのとり方
How to Communicate with Patients with Drinking Problems
柳田 公佑
1
1ゆうクリニック
pp.810-811
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901618
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■節酒を希望するアルコール依存症者
酒臭のする40歳の男性が,精神病院から退院した日,紹介状をもち受診した.彼は大手企業の幹部社員で,連休を契機に連続飲酒(J1)となり食事がとれない状態に陥り,上司・家族に説得されて入院した.入院後,全身状態は急速に回復し2週間で肝機能障害を残したまま主治医の説得に応ぜず退院している.面接時,彼は「肝臓が悪いから入院しただけ.もう,体調はよくなった」「精神病院に入院したのは総合病院の医師から離脱症状(J2)が起きる,と脅されたからだ」と言い,「私はアル中ではない.今後は量を決めて飲みたい」と節酒を希望.彼の考えに従い毎日ビール大瓶2本と決めた.
家族はこの決定に怒りをぶつけた.3カ月後,再び連続飲酒に陥り振戦せん妄状態(J3)となった.彼は入院を希望したが,会社からは入院するのであれば解雇といわれ,外来で離脱を図ることとした.離脱開始後は自ら抗酒剤(J4)を服用し,家族同伴の受診が続く.現在,安定した就労ができている.
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