忘れられない患者さんに学ぶ
母の病気
馬渕 茂樹
1
1トータルライフクリニック本郷内科
pp.103
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901412
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去年(1994年)の4月,母が35年ぶりに入院した.慢性肝炎だった.病状が落ち着いて5月下旬に退院.3カ月くらいは安定していた.9月5日に病状が悪化し再入院.肝硬変と腹水だった.
入院後のCTで肝の萎縮が急速に進行していることがわかった.それからはどんどん病状が増悪し,食べられない,眠れない日々が続いた.10月13日からは,肝不全による夜間の徘徊が始まった.10月15日,母を病院に見舞った時,母は自力で起き上がることができず,やつれて顔色はどす黒く,黄色い目をしていた.手は振戦で震え,排泄も自分ではどうやってよいかわからないような状態だった.主治医から聞いたデータはGOT 86 IU/l, GPT 47IU/l, T-Bil5.0mg/dl, PLT 7.3x104/mm3, HPT 22%,ICG 60%だった.「母はもう長くない.ついこの間まで,あんなに元気だったのに……」.それからは母の急変が,今日か明日かと心配を重ねる日々だった.
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