日常診療のOne Point Advice
内科系開業医と保険診療④―批判をがまん,より批判されない診療を
近藤 博重
1
1近藤クリニック
pp.118
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901416
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レセコンを使用するまで,毎月末から10日間は,まさに命懸けのレセプト作りをしていた.今でも多くの仲間が苦しんでいる.しかし,解放されたわれわれは同時にレセプトを点検する機会を失った.日々の診療が終われば正確にインプットされ,月初めには正確に打ち出される,と信じている.「査定されたか否か」だけに神経が集中されているかのように見える.医療費の支払い体系もめまぐるしく改定され続け,困惑した医師は診療の内容ではなく,査定されないためのヒソヒソ話ばかりしている.
しかし,正々堂々とした診療に査定などはありようがないのである.「なぜか,特別自分の所が狙われている」と感じる医師は発想の転換が必要である.良心的な診療であるか否かだけが大切なのである.しかし,この「良心的診療」が「その医師の独善でない」ことが証明されなければならない.自分の判断がいつも正しいと限らなかったことは,どの医師の心の中にも苦い経験として存在する.それを避けるためには,自分の診療内容であるレセプトをゆっくりと検討することが重要である.それにより,患者を目の前にした慌ただしい現場では気付かなかった「自分の診療の欠陥」が浮かび上がる.
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