日常診療のOne Point Advice
リノール酸は安全か
浜崎 智仁
1
1富山医科薬科大学第1内科
pp.972
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900634
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リノール酸は成長,皮膚の性状の維持,生殖に必須であり,ある程度の摂取により,血清コレステロール値が低下すると宣伝されたため,この30年間でその摂取量が飛躍的に増大した,アメリカでも,悪名高い飽和脂肪酸に取って代わるようになった.しかしリノール酸は肝臓によりアラキドン酸へと変換され,エイコサノイド合成の原料となる.このアラキドン酸への変換はリノール酸の摂取量とともに増加し,リノール酸摂取が12エネルギー(en)%になるまではともに増大する.人のリノール酸の必要量はlen%程度だが,現在の日本人のリノール酸摂取量は6~7en%と大過剰で,リノール酸摂取量がそのままアラキドン酸合成に影響を及ぼす.
多くの西洋型の癌はエイコサノイド(特にプロスタグランディン)の産生が癌のpromotionに関連しており,動物実験では発癌剤による癌であろうと,自然発症モデルであろうと,大部分の実験でリノール酸は有害で,飽和脂肪酸よりむしろ危険との報告もある.
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