随筆
のばすのが安全か
小林 敏政
1
1都立大塚病院産科
pp.45-46
発行日 1960年2月1日
Published Date 1960/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201855
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ずつと以前は都会でもズボンをはいた女性は珍らしかつた.殊に田舎ではこう言う女性が通りかかると悪童どもがツツーツと足早やに先歩るきしてそのズボン氏の顔をのぞきこんでやつぱり女だつたよ,と賭に勝つたのをほこらしげに言うし,その女性は顔を赤らめると言う一コマもあつたであろう.それが今ではズボンはおろか髪までもシヨートにカツトして男か女か区別がつけにくくヒツプでやつと区別する有様となつた.こう言うのも女性が男性化したためであろうか,こんな論議はともかくとして女性の社会への進出はめざましくスポーツ殊に山登り,ハイキング,スキー,スケート等に女性の発展はめざましい限りである.こうなると女性で一番厄介なメンスを何とかしたくなるのは人情の常と言うものであろう.メンスはシユレーデルの学説によると卵巣機能を反映しておこる子宮内膜の周期性の変化で増殖期,分泌期,剥離期,再生期とくりかえしこの剥離期がメンスの時期にあたることはよく知られているし,一方又この分泌期は丁度卵巣黄体の活動期間で荻野説によると14±2日であることも良く知られている事柄である.メンスが無いのは生れてからの10数年の間と45歳前後からの所謂閉経期後でこの間にないのは生理的におこる妊娠中と分娩後に授乳している時とである.
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