こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる
難聴児(1)
田中 美郷
1
Yoshisato Tanaka
1
1帝京大学耳鼻咽喉科
pp.618-619
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900509
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難聴は人生のいかなる時期においても生じうる.ただしそれが先天性ないし乳児期から存する場合と,成人になって生じた場合とでは持つ意味が異なる.難聴によって生じる社会的ハンディキャップで最も大きなものはコミュニケーション障害であるが,大人では音声が聞き取れないのがその原因であるのに対し,子どもではこれに言語が全くあるいは不満足にしか獲得できないという問題が加わる.言語が獲得できないと,話すことはもちろん読み書きすらもできず,コミュニケーションはジェスチャーが中心にならざるを得ない.
このような人は昔は精神薄弱とみなされ,社会的に下積みの生活を強いられてきた.しかし今は違う.乳幼児期の早期に難聴を発見し,早期より専門的教育ができるようになってからは,大学教育を受け得るものも続々と現れ,社会的に活躍する人が増加してきた.
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