連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
⑧難聴と(リ)ハビリテーション
田中 美郷
1
1神尾記念病院耳鼻咽喉科
pp.303-309
発行日 2000年4月20日
Published Date 2000/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902142
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はじめに
難聴が人生の早期からあると,聴覚的認知機能や言語の発達が阻害されるが,この障害は難聴による二次的なものであるから予防可能である。一方,幼小児期は人格形成の重要な時期でもある。それゆえに成人の場合とは異なって,難聴幼小児に対しては人間形成を重視した(リ)ハビリテーションサービスが求められる。かかる観点に立つと,難聴児の(リ)ハビリテーションは治療教育,すなわち「医学,心理学,教育学,その他の関連諸分野の理論・方法を総合的に活用して,個々の人の発達の促進と,情緒,認知,行動の諸側面にわたる問題の改善,克服とにより,その生活の向上充実を保証するための臨床活動の全てを指す」1)の観点から臨むことが望まれる。このような方法論は従来の耳鼻咽喉科学にはなかったが,世のニーズに応えるための新しい実践の学として発展してきたことに着目する必要がある。本稿ではこのような認識に基づいて論を進めたい。
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