JIM Report
「生活医療」の視点
三宅 貴夫
1
Yoshio Miyake
1
1太田記念病院内科
pp.258-259
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900390
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はじめに―医療と生活
医療は生活と多様にかかわり合っている.医療を行うにあたって患者の生活を無視することは不可能であるし,むしろ患者の生活を配慮することが有効で,好ましい医療を行うことができる.ここで改めて生活と医療の関係をとらえてみたい.その前に医療と生活について簡単にふれておきたい.
「医療」は,科学技術のすさまじい発展に伴い,その領域がきわめて広くなり,多様化し,専門化しているが,基本的には「医療とは,医学の知識と技術に基づいて人間をより健康でより豊かな生活を送ることができる状態にする行為」ととらえる.
他方,「生活とは,人の営みすべてである」とする.食べること,排泄すること,眠ることなど基本的な営みもあり,働くこと,創作すること,遊ぶこと,助け合うこと,愛すること,憎むことなどの営みもある.そこに喜び,悲しみ,怒り,恐れ,誇りなどの感情が交錯しているのも生活である.また生活は,一人で営めるものではなく,多様な人間たちのなかで多様な関係を持ちながら成り立っている.
こうした医療と生活の関わりについて2つの視点からみてみたい.
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