Japanese
English
特集 腹痛を見直す
「詐病」による腹痛
Abdominal pain due to factitious disorders
安藤 勝己
1
,
美根 和典
1
Katsumi Ando
1
,
Kazunori Mine
1
1九州大学医学部心療内科
pp.484-486
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900150
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ポイント
・強く症状を訴えるにもかかわらず,器質的異常を認めない症例は,神経症あるいは詐病(症状が意図的に産出されている病気)と診断され放置される場合がしばしばあるが,心身医学的観点に立てばそのほとんどは何らかの治療を必要とする病態である.すなわちその場合は,デプレッション,消化器機能異常(→1),虚偽性障害(→2)などのことが多い.
・デプレッションにおいては,器質的異常を疑わせるほどの強い消化器症状をしばしば認め,また頻度も高いため詐病として扱われる場合も多く,詐病との鑑別についてはデプレッションとそれに伴う消化器機能異常を積極的に診断することが非常に重要である.
・器質的異常を認めない患者に対して「詐病扱い」をしたり「加罰的処置」を加えることは,治療上の2大禁忌である.
慢性疼痛障害(→3)や機能異常の多くは,詐病扱いによってますます詐病様の様相を呈し難治化してしまう.また「加罰的処置」は患者を別の医療機関に追いやるだけで,治療的意義はきわめて小さい.
・虚偽性障害の患者に対しては,診断の段階で「詐病扱い」と「加罰的処置」が行われやすく,それが疑われた段階で専門医にコンサルトすることが必要である.
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