特集 「それは古い!」と言われない 診療スタンダードUp to date
【スペシャル・アーティクル】
DSM-5変更のポイント
大野 裕
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1独立行政法人国立精神・神経医療研究センター,認知行動療法センター,高田馬場研修センター
キーワード:
DSM-5
,
アメリカ精神医学会
,
精神疾患
,
診断
Keyword:
DSM-5
,
アメリカ精神医学会
,
精神疾患
,
診断
pp.534-535
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103242
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アメリカ精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』(DSM-5)が2013年5月に発表された(日本語版は2014年6月に医学書院から発刊予定).
本稿では,前版からの変更点を中心に解説することにする.
DSM-5は,作成に着手した当初はこれまでの診断マニュアルからのパラダイムシフトを目指すとして,生物学的な指標,予防概念,数値を用いた評価法等新しいシステムの導入を図った.しかし,生物学的な指標を導入するにはエビデンスが決定的に不足しており,予防概念の導入による過剰診断・過剰治療の危険性が指摘され,さらには開発過程での透明性の不足などが問題視されたことなどから,最終的には前版(DSM-IV-TR)とほとんど代わり映えのしない内容となった〔DSM-5の問題点の詳細は前版の作成委員長であったアレン・フランセスによる『<正常>を救え:精神医学を混乱させるDSM-5』(講談社),『精神疾患診断のエッセンス:DSM-5の上手な使い方』(金剛出版)を参照していただきたい〕.
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